1066年。
イングランドは動乱の時代を迎えていた。
ウェセックス王アゼルスタンの統一により成立したイングランド王位は、その後侵入してきたデーン人の手により一度奪われ、エドワード懺悔王のもとで再びこれをアングロ・サクソンの手に取り戻したものの、世嗣のいない彼の後継を巡ってアングロ・サクソン人のハロルド2世、その弟でノルウェー王ハーラル3世の臣下であったトスティ、そしてフランスのノルマンディー公ウィリアムの3者によるイングランド王位継承戦争が勃発していた。
ウィッチェ家も、その混乱の渦中にあった。
故・マーシア公*1の長女であったエルドギュス(エディス)はハロルド2世の妃となっており、その弟で父の後を継いでマーシア公となったエアドウィン(エドウィン)と末弟のノーサンブリア公モルカルは共にハロルド2世の臣下としてノルウェー軍とノルマンディー公軍と対峙することとなる。
果たして「イングランド王」の座は誰のものとなるのか。
終わりなき戦乱の歴史が今、始まっていく。
Ver.1.9.0.4(Lance)
使用DLC
- The Northern Lords
- The Royal Court
- The Fate of Iberia
- Firends and Foes
- Tours and Tournaments
使用MOD
- Japanese Language Mod
目次
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敗戦と臣従
1066年12月11日。
義兄ハロルド2世を支持する立場を明確にしたノーサンブリア公モルカルは、ベルニチェ伯爵領ベバンバーグ近郊の森の中で、北海の向こうから上陸してきたノルウェー王ハーラル4世の軍勢を迎え撃った。
結果は惨敗。勇将モルカルが自ら指揮を執り、森の中で上陸したばかりの敵軍を迎え撃つ形となったが、数多くの兵士が大地に斃れ、そしてこちらの騎士の1人も戦死するほどであった。
その後は反撃もままならず、ヴァイキングの成すがままに蹂躙され、1年後には首都エオヴォルウィーチ(Eoforwic, 現在のヨーク)を占領されるほどに。
同時期に南部ヘイスティングズではノルマン軍とハロルド2世の軍との決戦が行われ、こちらもハロルド軍が大敗。
この戦いに参加していた兄エアドウィンが戦死してしまった!
もはや抵抗する術もなくなった義兄ハロルド2世はウィリアム王に降伏し、その王位を承認。
兄の所有していたマーシア公領もすべて継承したモルカルは、イングランド最大の勢力として「ウィリアム王」に臣従することを決定した。
時は1068年1月27日。
ここから物語は始まる。
親睦と忠誠
新たに亡き兄からマーシア公位と公領も継承し、ノーサンブリア、デレ、マーシア、ランカスターの4公爵領を領有することとなったモルカル。ウィッチェ家の当主であり、かつハロルド2世が追放された今、全アングロ・サクソンの文化的棟梁としての責任も担うこととなった。
「外国人」ウィリアム王のことは決して許すことはない。しかし、今は未来のために屈辱を噛みしめて臣従するほかない。
ウィリアム王としても、新しい広大な土地の管理のために、モルカルを無碍にすることはできないと悟っているようで、早速ウィリアムからモルカルに、グロスターでの狐狩りの誘いが訪れる。
ここはイングランドでも随一の猛将たるモルカルの、「狩人」としての資質を見せつける場面。二つ返事で了承し、旅支度を始める。
現地に到着したモルカルの雄姿を見て、ウィリアム王も感嘆したようだ。彼を狩猟頭に任命するなど、重用する姿勢を見せた。
狩りはうまくいき、最後の獲物をウィリアム王自ら射止めると、狩猟頭のモルカルはこれを丹念に褒め称えた。
「お見事です、陛下。素晴らしい射撃です」
「ありがとう、モルカル。君も良くやった。君がこの森の道案内をしてくれなければ、この狐は見つけられなかっただろう」
「いえいえ、陛下。私はただお手伝いしたまでです。この森は私も初めてきましたから。この狐は陛下の手柄です」
「では、この狐は君に送ろう。君の勇敢さと忠誠心に感謝するしるしとしてね」
「・・・ありがとうございます、陛下。私にとって、これ以上の名誉はありません」
この狩りによって打ち解けたウィリアム王は、モルカルに宮廷における家令職への任命や、長女の養育係への任命など、次々と重要な役割を打診し始める。
モルカルはこれらをすべて承諾。面従腹背の姿勢を徹底し、いつの日かの復讐の機会を探っていく。
また、今回の狐狩りは単に王との親睦を深めることだけが目的ではなかった。
狐狩りの舞台となったグロスターは、モルカルの「次の標的」であったのだ。
拡張
現在グロスターシャー伯ハロルドが領有するグロスターシャーは、元々は現在のモルカルの臣下であるヘレフォードシャー伯ウルフスタンらグロスター家の領地であった。
先の征服戦争にて不当に奪われたこの土地の「返還」を求めてハロルドに宣戦布告。
ウィリアム王もこの動きは黙認したことで戦力の差は圧倒的となり、戦いは1ヵ月で終了。1069年3月11日に、グロスターシャーの地はヘルフォードシャー伯ウルフスタンの手に渡ることが決まった。
さらに1071年6月。今度はノーサンブリア北西部「カンバーランド」の地に狙いを定める。
アングロ・サクソン勢力とスコット人勢力との境界に位置するこの場所では、古くからブリソン諸語のカンブリア語を話す人びとが暮らしていた政治的空白地帯であったが、かつてこの地をノーサンブリア公が治めていたことを理由に、現在ここを正式に領有するスコットランド王に対して請求権を主張。
さすがに2,500超の軍勢を持つ国王級が相手。
単独ではなく、妻デニスの実家であるグウィネズ公ブレディン・アプ・カンヴァンに助力を求める。
こちらの本隊が敵首都セント・ジョンストン(現パース)の包囲に向っている間、アイルランド王国軍は海を渡ってノーサンブリア公国の首都エオヴォルウィーチに上陸。
こちらも包囲のための最低限の兵だけ残し、モルカル自ら率いた主力軍2,176名を、首都救出に向かわせる。
数の上では劣勢。しかし指揮官(モルカル)の能力、有能な騎士の数の差、より相性の良い常備兵の差などもあり、戦いは優勢に進む。
途中、グウィネズ公の軍も援軍として加わったこともあり、結果は大勝利。
追撃フェイズで軽騎兵と軽装歩兵が744体もの敵兵を追加で屠ってくれたおかげで、死者数はこちら側が253名に対してスコットランド軍は1,824名と大損害を与えることに成功。
とくに武勇「27」の最強騎士シュロップシャー伯「野人」エアドリックが71名もの敵兵を単独で屠るなど、獅子奮迅の活躍をして見せてくれた。
この元々は兄エアドウィンの臣下であったシュロップシャー伯、勇敢で野心的なところがモルカルとも通じるところがあり、親友のごとき付き合いをしていた男であり、モルカルの趣味の狩猟の際には狩猟頭としてついてくるほどであった。
このあとも逃げるスコットランド軍をベルニチェの地で壊滅させたことで敵軍の抵抗は完全になくなり、1072年5月1日、スコットランド王マルコム3世は降伏。カンバーランドはモルカルのものとなった。
そしてこの戦いの中でベルニチェ伯オズルフが平民ではあるが有能な戦略家アダムを連れてくる。
軍事能力27はモルカル以上。すぐさま雇用する。優位性ペナルティなしで川や水路を越えられる「渡河名人」特性も有用で、これは新バージョンからは旅の速度を増やす能力も追加された。
その特性を活かし、これも新役職となる「旅の世話役」にも任命。
そして武勇の高さも見込み、「騎士の称賛」も与えることにした。
土地を持たない家臣であることなどが条件となるが、戦いに勝利し続けることで「成長」しボーナスを得られるようになっていくため、お気に入りの騎士を育成する要素が加わった形だ。これは楽しい。
さて、そんな風にして領土を広げ、手勢を強化していくノーサンブリア公モルカル。
そして、ついに彼のその宿願を果たすべき好機がやってくる・・・。
復讐
1076年6月16日。兼ねてより大酒飲みだった「征服王」ウィリアムは突如死亡した。
その後を継いだのは嫡男の「短袴王」ロバート。
かつてのウィリアムの頃が総兵力1万弱、さらにフランス王の同盟がついていたことを考えると、かなり弱体化することとなった。
これは少し準備すればいけるはずだ・・・とその「準備」を進めていると、
1077年2月28日。このロバートが「不可解な状況」で死亡した。
わずか半年の治世・・・即位すらできなかった史実よりは、マシなのかもしれないけれど。
結局、最終的に王位の座が転がり込んできたのはロバートの生まれたばかりの男子ロバート2世(0歳)。総兵力はさらに小さくなり、同盟も完全になくなった。
こうなればもう、王権は形なし。
モルカルはついに、決断を下す。
1077年4月10日。
ノーサンブリア公モルカルはウィリアム王が僭称したイングランド王位が不当に継承され続けていると主張。
本来のその王位はウェセックス家のエドガーが継承するはずだった。実際、エドワード懺悔王は死に際して自らの子がいない代わりに兄エドマンド2世の孫にあたる彼をはっきりと後継者指名していた。
しかし当時のエドガーはまだ幼いということで諸侯会議が指名したのがハロルド2世。
今回モルカルは、そのエドガーが十分に成長したことで王位を継承する資格があり、その上でエドガーがイングランド王位の継承者としてノーサンブリア公モルカルこそが相応しいと自らを指名したことを理由に、王位の請求を宣言した。
そして宣戦布告。
1077年5月にはロンドン近郊のバーカムステッドの平原で最初の激突。
問題なく勝利。4倍以上のキルレシオを叩き出している。
1078年3月27日にはロンドンを陥落させ、摂政を務めていたロバート2世の母ジュディスも牢に入れる。
戦いは順調、と思っていたのだが・・・。
ロバート2世の劣勢を見てか、イングランド王国内で反乱の機運が高まる。
首謀者は前王ロバート1世の弟であるノルマンディー公リチャード4世。どうやらこいつが、ロバート1世暗殺の首謀者のようだ!
こちらの総兵力は5,183名。ノーサンブリア公軍が6,000ちょっとなのでほぼ互角。
決戦は1078年9月26日。一度ノーサンブリア公軍が占領した城を解放するためデヴォン伯ウィリアム(ロバート1世とリチャードの弟)を中心とした3,000強のイングランド反乱軍が包囲するオックスフォードを決戦の舞台と定め、騎士アダムを指揮官とする第一軍が強襲を仕掛ける。
双方の同盟国を合わせ総勢9,000名の兵士が入り乱れるオックスフォード平原の戦い。
最初は数的に劣勢ではあったが、日を重ねるごとに少しずつ形勢が逆転。
最終的には何とか勝利。わずかに相手側の犠牲数の方が多く、かつ数的不利の中でのこの勝利ということで、どちらが真に強い軍勢であるかを明らかにすることができた。
そしてこの間にさらなる敵都市の陥落が進み、ついに1078年11月9日。ついにロバート2世とその支援者たちは敗北を認め、モルカルはアングロ・サクソンの手にイングランド王位を奪い返すことに成功したのである。
これで兄エアドウィンを殺したノルマン人たちへの復讐は果たした。
一方で彼はこれで、アゼルスタンが創始したイングランド王国の守護者としての責任を持つこととなった。
その安定と繁栄とを永遠のものとするための、モルカルの本当の戦いがここから始まる。
第2回、内政編へと続く。
果たしてイングランドは永き平和と安寧を手に入れることはできるのか。
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