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【Victoria3】軍事ユニット解説(一部Ver.1.5.12更新暫定版)

 

以下はVer.1.1.2の頃に作成した軍事ユニット解説となるが、Ver.1.5で軍事周りが完全にアップデートされ陳腐化したにも関わらずアクセス数がそれなりにあるため、取り急ぎVer.1.5.12時点でのデータを一部載せておきます。

まずは陸海軍の主力兵種のみ。のちのち完全版を用意した上で解説も載せる予定(その場合は別記事になる可能性あり)

 

①陸軍歩兵(Ver.1.5)

旧バージョンと異なり、塹壕歩兵と分隊歩兵の敗戦時被占領率減少ボーナスが取り除かれた。

また旧バージョンでは士気減少数値が正規兵と徴募兵とで違いがあった(徴募兵の方が大きい=士気が下がりやすかった)のだが新バージョンでは一律?

他の兵種も概ねそうだが、全体的に必要となる物資の量が増えコストが上がった。


②陸軍砲兵(Ver.1.5)

新バージョンで明確に攻撃特化部隊用の兵種として追加された。その分コストは大きい。なお、砲兵と騎兵は歩兵よりも一連隊の中での数が多くなるとペナルティがかかる。戦闘中の減少によってもかかると思われるため、歩兵よりも少なめに運用する必要がある。

 

③陸軍騎兵(Ver.1.5)

基礎占領率を上げる効果をもつため、こちらも砲兵同様に侵略部隊に用いたい。槍騎兵を使うことが多いと思うが同時代の他兵種と比べコストは高い。鉄は高くなりがちなので特に注意が必要。

 

④海軍小型艦(Ver.1.5)

海の歩兵。水雷艇だけ特殊で攻撃型&船団襲撃用。部隊によって使い分けるべし。陸軍と比べコストが高い。

 

⑤海軍主力艦(Ver.1.5)

同時代の小型艦と比べ2倍以上の性能を誇るがコストも2倍・・どころか3倍以上ある。船団襲撃効率を下げるため、水雷艇などを用意した襲撃用部隊には使わないのが基本。

 

⑥海軍支援艦(Ver.1.5)

船団襲撃特化の潜水艦と、純粋に攻撃力を爆上げする空母の2種類。空母はコストにおいても最高。

 

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AAR「強AI設定で遊ぶプロイセンプレイ」レポートで使用する関係で細かく調べてみた各種軍事ユニットデータ。

せっかくなので自分のためのメモも兼ねてまとめてみました。お役に立てれば幸い。

なお、下記のデータ・戦略はすべてVer.1.1.2時点のものとなります。

戦略解説・史実解説については全く専門家ではない筆者がWikipediaに頼りながら記述している部分が大半のため、誤りや補足などあれば遠慮なくご指摘ください。

 

目次

 

陸軍

①基本編成

基本的に防御優位。未開国家の非正規歩兵に対して戦列歩兵ではあまり優位に立てず非正規歩兵の防御に対して2倍の攻撃の値を取る散兵まで獲得して安定となる。

逆に列強下位以下の国々が長らく採用し続ける戦列歩兵の防御に対しての散兵の攻撃力も心もとなく、安定して攻め込むには塹壕歩兵が欲しくなる。

その塹壕歩兵が各国に配備され始める19世紀末以降は戦車の導入まで戦線が停滞しがちになる――という状況がデータから見ても分かりやすい。

なお、防御値だけ見ると分隊と塹壕歩兵の差はそこまで大きくなく、防衛専門戦線の部隊はあえて塹壕歩兵を用意するのは手としてありである。

その他、兵種をアップグレードするたびに、戦闘中に失う士気量が小さくなり、将校の割合が大きくなる(つまり軍隊給与は高くなる一方、軍部の影響力が増大しやすくなる)という特徴もある。

 

史実解説

戦列歩兵は17世紀から19世紀にかけて世界各地の軍隊で主流となった形式。銃を持った兵隊が密集陣形を組んで一律の速度で前進していく。非熟練者であっても教育しやすく、また脱走兵や規律を乱す者を統率・処罰しやすい形式であったことは、傭兵など職業軍人が中心であった時代に即してもいた。

そこから技術が発達し、ミニエー銃や後装式の砲など装填・次弾発射速度・命中精度・飛距離も飛躍的に向上すると、戦列歩兵の密集陣形や(他の国の軍隊との識別を容易にするために採用されていた)派手な原色を使用した軍服などは格好の的となってしまった。

よって、戦列歩兵は次第に廃止され、迷彩色で軽装の散兵による運用が中心的になっていく。国民国家の成立により、逃亡兵が出にくくなったことも、戦列歩兵からの脱却を可能にした。

塹壕技術の発達は戦線の停滞を招いたが、これを攻略するための戦法として「突撃隊」の運用が第一次世界大戦の頃から始まった。その代表例がドイツ軍参謀総長エーリッヒ・フォン・ファルケンハインによるヴェルダンの戦いであり、浸透戦術とも呼ばれた。

歩兵よりも割合的に多い砲兵を使用した地帯射撃を行い長距離からの歩兵による強襲的効果を用いたが、その際に小隊以上の規模ではなく「分隊」規模による突撃が行われた。

とはいえ自軍の被害も大きく効果的とは言い難い部分もあったため、塹壕の完全な攻略は戦車の登場を待つ必要があった――あたりはゲーム上の数値でもある程度反映されているように思う(防御値が低いのも被害の多さの反映か)。

 

②支援火砲

実際には基本編成だけでなく、この支援火砲とセットで軍隊の質の差を考慮する必要がある。非正規歩兵を運用する後進国でもカノン砲を持っていることは多く、いつまでも戦列歩兵を採用している列強下位以下の国々に侵攻する場合も、散兵だけで対応するのは難しく、せめてこの榴散弾砲を採用することが重要となる。

逆に塹壕歩兵時代でも、攻城砲を採用することで比較的攻め込みやすくなることも多く、さらに「士気ダメージ」値の上がり幅が大きいため、19世紀末に積極攻勢に出たい場合はこちらの技術も優先することが重要となる。

但し攻城砲は防御面では榴散弾砲と変わらない。そのくせコストは純粋に2倍なので、経済的にカツカツな国は考えなしに全軍配備せず、攻勢用部隊と防衛用部隊とに分け、前者にのみ攻城砲を配備するなどの工夫も必要となるだろう。

 

史実解説

騎馬砲兵は英語版ではMobile ArtilleyでありHorse Artilleyとは書いていない。ゲーム中の画像もとくに馬は描かれていない。

とはいえ、フリードリヒ大王が初めて採用したこの騎馬砲兵運用はナポレオン戦争で大いに活躍したため、解禁技術と合わせこの訳し方は絶妙に思われる。

鉄や鉛の球形砲弾が主であったそれまでの大砲は戦列を乱させるには効果的であったが実際的な殺傷力はそれほどでもなく、散兵時代においては無効化されがちだった。そこで生まれたのがライフリングが刻まれた大砲から発射された尖頭形・筒型の砲弾が、敵陣の中に到達したタイミングで炸裂し、内臓された細かな散弾をばらまくという榴散弾の採用である。

第一次世界大戦時代の塹壕戦においても、塹壕の中にこもる敵兵を効果的に殺傷する効果をもたらし、このことが鉄製ヘルメットの大量装備に繋がる事態を生み出した。

人馬に対する殺傷力は甚大な一方、要塞やトーチカ、戦車などに対しては効果は薄かった。これをカバーするために発展したのが攻城砲技術であり、第一次世界大戦で投入されたドイツ・クルップ社製のディッケ・ベルタはその代表例であり、ゲーム中画像のモデルにもなっていそう。

敵軍の堡塁を次々と破壊する戦果を挙げたディッケ・ベルタだったが、その威力が第一次世界大戦の破壊的な荒廃をもたらす一因ともなったのである。また、滅茶苦茶高価で大量配備は難しかった様子。その辺りはゲームにも反映されている。

 

③偵察部隊

攻撃・防御といった純粋な戦闘能力に寄与する部分は小さく、専ら占領率向上に寄与する。自動車、そして飛行機を採用することで進軍スピードを大きく上げることができるが、貴重な資源を利用する割に劇的な効果が得られるわけではない印象なので、解禁即採用は必ずしも良手ではない。攻勢部隊と防衛部隊とにきっちりわけているのであれば防衛部隊に用意する必要はほぼないだろう。

でもロマン的には飛行機使いたくはある。画像用意してくれないかな。

 

史実解説

自転車伝令の歴史上の初出は普仏戦争。その後自転車技術の発達に従い、19世紀末にはボーア軍の「セロン偵察軍団」がイギリス軍を苦しめるなどの事例が発生した。

とはいえ自動車の導入の時期が近かったこともあり、そこまで重要な存在とはならなかったようでもある。塹壕戦との相性も悪かった。

太平洋戦争時代の日本軍の銀輪部隊は日本では特に有名。

 

④特殊部隊

直線的な上位互換の形式ではなく、とくに工作部隊・火炎放射部隊・化学兵器部隊については技術自体が横並びであり、使用用途に合わせてどの方式を採用するかを検討するものとなる。

防御面ならもちろん機関銃手。防衛部隊を設定しているならこれ一択だろう。塹壕歩兵と合わせ被占領率-50%は防衛部隊としては非常に重要。

攻勢部隊においては化学兵器部隊(いわゆる毒ガス部隊)が非常に強力で、戦車などと合わせた地獄の第一次世界大戦連隊はあらゆる障害を壊滅させる。史実通り塹壕を無効化することだろう。

但し占領率を大きく下げるデメリットもあり。これを大きく上げる航空偵察とセットで使いたい。そのデメリットが受け入れがたい場合は火炎放射部隊を運用しよう。

 

⑤医療支援

シンプルな効果と種類。とにかくアヘンの調達が難しいため、エジプトやペルシア、シャムなどを配下に従えることができず、イギリスと対立するような立場であれば、戦争時に十分に確保するのは難しいかもしれない。

Ver.1.1.2時点ではアヘンが不足しているだけですべての兵種の攻撃力や防御力にペナルティがついてしまっているため、アヘン確保ができないのであれば思い切って「創傷包帯」にしてしまった方がよい。

設備適合ペナルティは存在しないため、戦争中でも自由に切り替えは可能なので状況を見て調整しよう。

 

 

海軍

①旗艦

②随伴艦

海軍は陸軍より大味で、運用する艦隊がほぼすべて戦場で使用できるため、質の差は割と容易に数の差で押し返せることが多い。上陸戦を考えると質より数が重要になることも多く、より一層上位種を採用するかどうかは慎重になる必要もある。

陸軍と比べてもコストの上がり幅も強烈なため、採用の仕方には注意を。ここで支払うコストの分を陸軍に費やした方がいいことも多い。

③襲撃艦

「襲撃効率」を上げる効果から、「船団襲撃の達人」特性を持つ提督が指揮する襲撃専門部隊に採用し、輸送艦護衛部隊や上陸戦支援部隊への採用はしない――という棲み分けができれば面白いのだが、「輸送艦防衛」任務は攻撃側で参加する関係上、そのための艦隊にも上記兵種を採用したほうがよかったりする。逆に船団襲撃は防御側で先頭参加するため、効果の相反関係が発生してしまっている。これは意図的なの?

上陸作戦支援部隊は防御側で参戦することになるため上記兵種は採用しない方が良いのだが、上陸作戦支援のみで運用する艦隊というのもあまりないとは思うので――結局は全艦隊潜水艦を採用というパターンでも問題なかったりする。

このあたりの大味さは将来的に改善されていくと面白いのだが。

 

④海軍理論

物資を消費しないため気軽に採用できる。その割に攻撃防御に士気周りとバランスの取れた大きな恩恵が多く、解禁されたすぐ採用しても問題はない。

最大の効果は「訓練率(新設された施設への兵士の補充速度)」の向上。海軍基地はもともと訓練率が低いのでこの値を着実に大きくしていくことは大海軍を配備したい志向がある場合には重要である。

その他、将校の割合をどんどん増やしていけるため、軍隊への給与が増えるという面では間接的なコスト増につながるが、軍部の影響力を上げやすくもなる。このあたりがデメリットになる場合は上位方式への無条件採用は控えた方が良さそう。

 

 

編成例

各時代・各国が典型的に採用している編成を確認。そのときの時代状況や難易度設定・バージョンでもちろん大きく変わってくるため目安ではあるが、軍事技術取得タイミングなどの検討に参考にしていただければ幸い。

 

①序盤後進国

例)1840年シアク

未開の部族であってもカノン砲を配備していることは多く、戦列歩兵+騎馬砲兵(攻撃力35)で安定して優位に立つのは簡単ではない。先住民反乱(防御+300%)がついていると猶更。安定させるには散兵の採用が必要となるだろう。

騎馬砲兵は時代Ⅰ技術のため、非正規歩兵中心の後進国でも比較的早く(1850年以降)採用してくるため、防御力はさらに上がる。

 

②列強下位位以下

オーストリアやロシアといった列強下位位以下から清などの地域大国まで幅広い国が19世紀後半まで長く採用している編成。堡塁(防御+10%)の技術を獲得していることも多く、これらを安定して倒すには散兵+騎馬砲兵(攻撃力45)では厳しく、せめて散兵+榴散弾砲(攻撃力60)は必要となるだろう。

 

③19世紀後半列強上位

例)1873年フランス

英仏独といった列強上位国は初期段階で散兵+騎馬砲兵(攻撃45・防御50)を配備しているが、それが19世紀中盤から後半にかけては(自転車伝令の有無は別として)上記のような編成に切り替わっていく。堡塁(防御+10%)の技術に加え、時代が下るとさらに手動クランク式機関銃(陸軍防御+5)も加わり、これを打ち破るには塹壕歩兵+榴散弾砲(攻撃70)では心もとないため最低でも攻城砲(攻撃80)は欲しくなってくる。

あとはこのあたりから攻撃戦略の達人(攻撃+30%)や愛国熱(攻撃最大+30%)の効果が大きくなってくる(60なら18、70なら21、80なら24)ため、その分も含めて戦略を検討しよう。

 

④19世紀末列強上位

例)1895年アメリカ、1896年オーストリア

いよいよ塹壕時代に突入。ここに堡塁(防御+10%)手動クランク式機関銃(陸軍防御+5)も加わっていく。塹壕歩兵+攻城砲(攻撃力80)に何とか攻撃戦略の達人(攻撃+30%)や愛国熱(攻撃最大+30%)あるいは自動偵察(攻撃力+10)を加えてようやく優位に立てる。

基本は防戦重視で敵兵を削ったうえでのカウンターで攻め込むしかない時代となっていくだろう。

なお、経済強化MOD「Anbeeld's Revision of AI」を導入かつ「無情」「高い好戦性」AI設定にするとイギリスが1873年時点でこの編成を用意していたりもしてなかなか痺れる。

 

⑤20世紀初頭列強最上位

例)1907年の北ドイツ連邦

Abeeld's Revision of AIを導入していなくとも20世紀初頭に順調に発展しているAIは上記のような編成を用意していたりもする。ここに堡塁(防御+10%)手動クランク式機関銃(陸軍防御+5)に加え縦深防御(防御+30%)の技術を採用していたりもするとさらに固くなる。一方、資源不足でペナルティがついていることも多い。

ただ、AIの場合はこのあたりで進化が止まることもしばしば。19世紀末から20世紀初頭にかけて、プレイヤーが本気で軍拡をすると大きな差をつけることができるだろう。

 

⑥地獄の第一次世界大戦編成

その「本気の軍拡」の結果がこれ。飛行機で空から爆弾を落とし、塹壕には毒ガスをまき散らし、飛び出してきた敵兵を戦車で無慈悲に蹂躙する。そんな地獄の第一次世界大戦を再現する編成である。

敵AIは塹壕歩兵で進化が止まり、技術による補正込みでも防御140ほどに留まるため、上記部隊を編成し将軍の特性や軍部の高支持率ボーナスによる補正を加えることで敵の鉄壁を突破できるようになるだろう。化学兵器部隊を火炎放射部隊(攻撃20)に変えて占領率ペナルティを外したり、航空偵察は採用しない形でも対応は可能。

とはいえ、これらの編成が可能な国力を持っていれば、無理に戦争をしなくとも内政だけで世界一になることは可能だろうから、ほぼロマンでしかない。

また、この時代になると軍隊の質以上に、その戦闘にどれだけの大隊を参画させられるかが重要になる場面が多い。大隊参加数のコントロールは未だによく理解できていないので何かいい方法はあるだろうか・・・。

 

 

以上、何か少しでも参考になっていれば幸い。

補足や間違いの指摘などありましたら遠慮なくコメントやTwitterで指摘していただければと思います。

 

 

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