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【Victoria3】冷戦MOD(Cold War Project)日本・テストプレイ(1946年~2000年)

 

江戸幕府・大日本帝国編を終え、次のVerアップデートまで中途半端に期間が空いてしまった為、話題の冷戦MOD「Cold War Project」をプレイしてみた。

steamcommunity.com

これはArcady氏によって作成された大型MODで、その名のとおり冷戦時代を舞台としたVictoria3をプレイできる。開始年代は1946年1月1日で、まだ中国では国共内戦が繰り広げられ、朝鮮半島もドイツも各国による分断支配を受けているような状態だ。

 

まだアルファ版ということで未完成な部分は多いが、それでもすでに法律・経済周りの改変なども多く取り入れられており十分に遊べる状態であった。

Victoria3の各種MODを作成してくださっているFUN氏による日本語訳もかなり進んでおり、ストレスなく楽しめる状態にあると言えるだろう。

 

今回はまずは定番の日本でプレイしていきたいと思う。

まだ米軍占領下の非独立国としての日本だ。

 

それではいってみよう。

 

Ver.1.3.6(Thé à la menthe)

使用DLC

  • Voice of the People

使用MOD

  • Cold War Project(Ver.0.2.8)
  • Cold War Project Japanese

 

目次

 

デフレで国が亡ぶ

ゲーム開始年月日である1946年1月1日時点の占領下日本の首相は幣原喜重郎。1945年10月9日に戦後2つ目の内閣として成立したこの幣原内閣は、史実では1946年4月10日に行われた戦後最初の衆議院選挙で敗れ、約半年で退陣となる。だが、この世界では1949年に最初の選挙が行われるということもあり、暫くは安泰である。

なお、開発中の現時点ではまだ日本人皆「侍」の格好をしている。


政権を担うのは「エリート」層。バニラ版でいうところの「地主」層にあたる存在か。新設の職業である「投資家」や技師、職業としての「地主」などに支持される利益集団だ。

彼らは単独で「保守党」を構成しているが、ここに「起業家」層が支持する「自由主義者党」を政権メンバーとして加え、経済回復を目指していくこととなる。

終戦からまだ半年も経っていない東京は焼け野原。

荒廃でインフラもままならないような状況ではあるが、まずは建築に必要な「鋼鉄」の不足を解消するための「製鋼所」の増設を行うなど、少しずつ復興を目指していこう。

日本を占領下に置くアメリカだが、開発支援や経済支援という形で大きく援助してくれることも。この「開発支援」によって一気に建設力が300以上増加し、経済発展を支援してくれるほか、行政力を700以上増加させてくれる支援もしてくれることも。


さて、内政を進めていると1946年6月9日に突然、見慣れぬアラートが登場する。「危険水準のインフレ」とのこと。

クリックしてみると、「予算」タブに新たに追加された「中央銀行」のページへと飛ばされる。ここでは日本の中央銀行の格付けや件のインフレについて、あるいは「通貨供給量」といった様々な新要素が並んでいる。

今回はこの中の「インフレ率」という数値が5%を超えたことで、「危険水準のインフレ」のアラートが登場したようだ。

さらに同年8月20日には「信用格付けの格下げ」というイベントが発生。

国民が皆、自国の通貨に対する自信を失ってしまう。

インフレによるデメリットがどれほどのものなのかイマイチよく分からないが、とりあえず是正しないといけないようだ。

方法は二つ。一つは金利の上げ下げを行うこと。インフレを抑制する為には金利を上げていく。なお、金利を操作した後は下画像の赤丸にあたる「真ん中のボタン」を押さないといけないので注意(筆者はゲーム後半までそれに気が付かなかった)。また、一度金利の変化を起こすと、3か月間は再度変化させることができないことにも注意しよう。

もう1つの方法は、通貨供給量を減らす(金融政策的には「緊縮」する)ことでインフレを抑制したり、逆に供給量を増やす(金融政策的には「緩和」する)ことでデフレを抑制したりする方法。他国の通貨の購入・売却でもある程度この供給量を操作することが可能だ。なお、「緊縮」すると行政力が増し、「緩和」すると鋳貨が増える(つまり国庫収入が増える)効果も存在する。

最初は、この辺りのバランス取りが非常に難しい。

筆者はインフレを抑制することに気を取られるあまり、いつの間にかデフレが急激に進行していたことに気が付かない、という愚を犯していた。

気が付いたときにはすでに通貨供給量が-60%を超えており、これだけで月に2%以上のデフレを進行させるという大変な状況に。

通貨供給量はどれだけ緩和政策を取ってもすぐに回復させることは難しい。そうしているうちにインフレ率は-10%にまで落ち込み、それは各施設の生産量を激減させ、経済の大混乱を招くという最悪の事態に。

さすがにもうどうしようもなくなった為、このプレイはここで終了。最初からやり直すことにした。

インフレ/デフレ対策は非常に重要。早期に金利と通貨供給量を操作し、安定したインフレ率(0%~2%が理想)を維持できるようにすることがこのMODでのプレイにおいては非常に重要となる。特にデフレは怖い。とにかく怖いぞ。

 

 

東アジアの混乱

気を取り直して再生成された世界でプレイを再開。今度はしっかりとインフレ率をコントロールしながら進めていく。

1940年代末期から1950年代初頭にかけて、世界はさまざまな動きを見せていく。

まずは1948年5月5日。国際連合で朝鮮の統一に関する決議が通過した様子。

韓国統一選挙案が可決

国連総会は、朝鮮半島の統一と選挙を監督する国連委員会の設置を可決した。しかし、この委員会の権限は行政区域の実質的な協力に依存しており、いずれかの区域が国連委員会への協力を拒否すれば、全国的な選挙の実施は不可能となる。たとえ決議が不可能になったとしてもである。たとえ決議が拘束力を持たないものであったとしても、朝鮮半島問題解決への圧力は著しく高まっている。

本日、国連総会は現在進行中の朝鮮半島情勢に関する決議を採択した。この決議により、国連朝鮮臨時委員会が設置され、朝鮮全土の選挙を監視するとともに、米ソの行政区域の統一を監督することが任務となった。委員会の任務は堅固に見えるが、その目標の達成は、政権とその後ろ盾の協力にかかっている。
両陣営とも、統一という目標に協力すること、あるいは決議を遵守することをまだ確約していないため、この国際的任務から何かが生まれるかどうかは、時間が解決してくれるだろう...。ニューヨーク・タイムズ

 

試しに在朝鮮アメリカ軍政庁(韓国)の中に入ってみると、南北どちらを中心に統一を図っていくのかの投票ジャーナルが発生しているようで、期限までに結論が出なければ朝鮮戦争が開幕する?ようなシステムになっているらしい。

残念ながら意見の統一は図れないまま期限切れとなり、南北は南北のまま独立。

かと思えばいつの間にか(本当にいつの間にか・・少なくとも1955年には)統一されており、再びアメリカの軍事占領下に置かれていた。

支配者は史実でも統一を強く志向していたがそれゆえに米軍政庁に毛嫌いされ、最終的には単独独立を志向した李承晩と対立・暗殺された「金 九(キム・グ)」。色々と史実との変化が生まれつつある様子だ。

 

さらに1949年6月21日には、今度は国共内戦で劣勢状態に陥っていた中華民国の要請で国連決議にかけられていた「内戦終結への国連の介入」案が否決されてしまった。

中華民国の要求した国連の介入が否決

本日未明、世界各地から集まった外交官や代表者たちは、国際連合総会を埋め尽くし、それぞれが事態の深刻さを痛感していた。議論は激しく、熱のこもった議論と心のこもった嘆願が双方からなされた。
しかし結局、合意には至らなかった。中華人民共和国への国連の介入を支持する票が投じられたが、加盟国の過半数が介入に不賛成か中立の立場をとったため、不成立となった。

外交と協力の力は失敗に終わった。
会場は失望に包まれた。国連は、中華民国における暴力と苦しみに終止符を打つためのコンセンサスを得ることができなかった。

それが現実なのだ。

 

中国の内戦は続く。そして蒋介石率いる中華民国は今にも崩れ落ちそうな状況となっていた。

そしてその年の暮れには中国は毛沢東率いる共産主義政権によって統一される。

中華民国は史実通り台湾に逃げ込み、再起を図る運命へと追い込まれた。

 

そんな中、日本では1949年選挙が実施され、幣原喜重郎率いる保守党が見事勝利。

史実とは異なり、幣原が首相続投を決めたのである。

史実において1946年選挙で幣原を破った吉田茂ももちろん登場するが、残念ながら選挙で勝つことはできなかった。

 

そうこうしているうちに1951年9月5日。

突如として日本が「独立」を果たすことに。

とくに前触れもイベントも何もなく・・・以前のバージョンでプレイされている動画を見るとサンフランシスコ平和条約とかもあるようなのだが、現バージョンでは一旦なくなっている?それとも自分が何か条件を見落としている?

 

何はともあれ、ここからが本当の戦い。

日本の真の復興が始まる。

 

 

再軍備化と65年体制

1956年。中央ヨーロッパ・東側陣営と西側陣営の狭間における緊張はいよいよ頂点に達しつつあった。

西ドイツによる、ブランデンブルク=ベルリン周辺の「返還」要求に対し、東ドイツの後ろ盾であるソ連が介入。当然、アメリカ合衆国もここに参戦し、冷戦は今まさに「熱戦」へと変貌しようとしていた。

史実にはありえなかった「無謀」に挑もうとするのはかのティルピッツ提督の末裔。

 

米軍の超音速ジェット戦闘機が空を支配し、ソ連の主力戦車が陸を蹂躙する激しい攻防戦は暫し膠着状態に陥るも、やがて1857年6月に東ドイツ(ドイツ民主共和国)内で「革命」が勃発。

この対応に追われる東側陣営は最終的に西側陣営との講和締結を決断。

ベルリンを含むブランデンブルク州はすべて西側陣営の領域となった。

一方で、東ドイツ内での革命は鎮圧されてしまった。


欧州でのこの核戦争勃発間近とも言える緊張状態を経験した中で、アメリカ合衆国もいよいよ日本の「再武装化」への容認の姿勢を取り始めることとなる。

ちょうど1957年選挙ではエリート知識人道徳家治安官僚が支持する保守党が3度目の勝利を達成。

その保守党の支持層の一派である治安官僚が軍隊の所持を許可する「完全志願制」制定を要求。

この要求を受け入れ、政府は1960年6月10日、完全志願制による軍隊、すなわち「自衛隊」の設立を宣言した。

この「軍隊の所持」を巡る顛末は政治問題にも発展。政府に批判的なメディアが中心となって反政府・反自衛隊キャンペーンを展開したことで「国民に誤解」をもたらしてしまったことを受け、幣原に代わって保守党の新たな党首そして総理大臣に就任していた東郷従道(つぐみち)は力づくで成立を後押し。

この東郷の強権的な姿勢に対しても野党は一斉に非難。国会はしばし乱闘騒ぎが巻き起こる事態となってしまっていた。

このMODではキャラクターに「経歴」特性がつくこともある。幣原喜重郎は「党幹部」でこちらは「弁護士」。オリジナルキャラクターにもより物語性と愛着が湧くようになった。

 

この政府批判に拍車をかけたのが保守党の幹部による汚職事件の頻発。

本MODでは政府与党に陣取る利益集団は時間と共に「汚職」が蓄積される仕様で、これを放置すると主に財政面でのデメリットが非常に大きくなる。

ディシジョンで汚職の抑制と減少を促進することができるが、大量の行政力を消費することとなる。

それでも、保守党の圧倒的強さは変わらず、1965年には旧来の第2党であった自由主義者党が後退した代わりに都市住民労働者が中心となった民主社会党が台頭。

暫くの間はこの保守党と民主社会党がおよそ2:1の割合で議席を分け合う「65年体制」が継続していくこととなる。

 

数々の問題を抱える保守党政権がなおも強さを保ち続けるのは、それだけこの清濁併せ吞む与党の政治手腕を国民が支持しているからでもある。

その支持の背景にあるのは――右肩上がりで成長を続ける経済の好調さであった。

 

 

高度経済成長と中国内戦

Victoria3が政治のみならず経済にも強いフォーカスを当てた作品である以上、この冷戦MODでもやはり経済とその背後にある産業・技術についてもかなりの改変を加えている。

新技術は無数に追加されているが、やはり60年代から70年代にかけての高度経済成長期を支えたメディアの発展もしっかりと再現されている。

1970年代に入り、各家庭にテレビが当たり前のように広まるにつれ、その「家電製品」の需要が爆増。

その生産量を増やすための技術を中心に開発していくのだが、その過程でこれも本MODで追加された新資源が色々と入用になっていく。序~中盤で重要になるのがアルミニウムであり、さらに言えばその原料であるボーキサイトである。

現状、日本では自給できないボーキサイトは主に「東側陣営」の中華人民共和国からの輸入に依存している。それ以外の市場でも豊富には余っておらず、なかなか輸入できない状況となっているのだ。

この資源不足への危機感は、与党の中では重要な位置を占めていた。何しろ、経済成長こそ、彼らの国民からの支持を支えるものであり、これが瓦解するようなことがあればすなわち、政権を失うことをも意味していたのである。

 

そんな中、その「事件」は巻き起こる。

 

 

1972年11月2日。

存命の毛沢東率いる中華人民共和国で、沿岸部を中心に民主化勢力による大規模な内乱が発生。

民主化勢力を率いるのは若き知識人の黄彭(こうほう)。

毛沢東の忠実なる右腕・周恩来も自ら兵を率いて防戦に出るなど激しい戦闘を繰り広げていくが、実は財政的に完全に崩壊しかかっていた中華人民共和国はもはや反乱軍に抵抗できる力は備えてはいなかった。

削り取られていく中華人民共和国の領土。このまま反乱勢力による革命が成功するかと思っていたが――。

1973年7月6日。

なぜか唐突に、中国は大分裂を巻き起こす。半世紀前に逆戻りしたかのような、大混乱。

当然、ボーキサイトは即座に不足状態に。政府は慌ててボーキサイトを産出する直隷軍閥や大城軍閥に接触し、輸入の手はずを整えていく。

だが、これらの市場もいつ、再び戦火に巻き込まれて崩壊するか分からない。

与党・保守党政権は、状況の根本的改善に向けた手を打つことを決断する。

 

それはすなわち、戦後30年に渡り封印してきた、「対外侵略戦争」への着手である。

 

 

中国侵略

ソ連と並ぶ東側陣営の雄としてその存在感を誇っていた中華人民共和国が崩壊したことで、この地は暫く落ち着きを見せていた東西冷戦の最前線へと逆戻りすることとなった。

分裂した各軍閥のうち、満州および安徽軍閥は西側陣営に就くことを決定。

一方で両国に南北から挟まれるような場所に位置する山東軍閥は東側陣営への参画を決定。北京を支配するソ連傀儡国家としての「アフガニスタン」からの圧力も彼らの決断に影響を与えていた。

その他の軍閥は今のところ旗色を鮮明にはしていなかったものの、やがて時と共にあらゆる軍閥がその拠り所とする陣営を決め、中国はイデオロギー的な意味でも完全に分断されることとなるだろう。

そのことは、中国の資源を狙う日本政府にとっても、そのチャンスを生み出す源泉となっていたのである。

 

 

1974年4月。日本国内閣総理大臣・東郷従道は、とある「承諾」を得るために米国・ワシントンD.C.にある大統領官邸「ホワイトハウス」を訪れていた。

目的は当然、現米国大統領レイモンド・リアンと面会するため。

2年前の選挙で民主党の大統領候補ジェーン・テイラーとの熾烈な一騎打ちを制し当選を果たしたリアンは熱烈な愛国主義者であり、また強烈な反共産主義者でもあった。

その彼に、従道は「東アジアにおける共産勢力の弱体化」の為に、最前線に立つ日本が自ら軍を出し西側資本主義陣営に貢献することを「進言」。

イデオロギー的な共感はもちろん、対ソ連を意識した軍備強化の末に慢性的な財政赤字に苦しみ、かつ国内の平和主義者たちの政治運動の活発化に直面していたアメリカにとって、極東の地で忠実な同盟国が自らの血を流してくれることは願ったりかなったりでもあった。

結果としてリアン大統領とアメリカ合衆国は日本による「中国侵略」の容認を宣言。

「対共産主義戦略の一環」という大義名分を得た日本は、形式上は隣接する安徽軍閥からの「要請」という体を取り、山東軍閥に対して領土割譲要求――事実上の宣戦布告を突きつけた。

日本政府および「自衛隊」は、ソ連との全面対決も覚悟していた。

だが、米国同様に膨れ上がる軍事費に押しつぶされそうな状況であったソ連は、破滅的な結果を招きかねない米ソ直接対決を避けるために、山東軍閥殻の救援要請を無視し、介入を断念。

結果、1974年7月16日に日本の30年ぶりの戦争となる「山東戦争」が開幕する。

当然、装備の差は圧倒的であり、最新鋭の兵器を導入した日本軍の前に山東軍閥の兵は次々と敗退。

総司令官・三音貞夫中将の指揮の下、上陸後も日本軍は破竹の勢いでその占領地を広げていく。

結果、開戦からわずか4か月。

1974年11月19日に山東政府は降伏を宣言。

山東半島は日本政府の「委任統治領」となったのである。

その狙いは当然、この地に眠る資源。大量の石油はもちろん、数は決して多くはないものの念願のボーキサイトの自給がついに可能になったのである。

そして、この日本の勝利はこの国が真に「独立国家」として復活したことを象徴する出来事として世界各国に周知され、やがて日本はもう1つの念願であった「成果」を手に入れることとなった。

 

 

大国としての責務

1976年5月。ロンドンに本部を置く国際連合は日本の加盟を正式に認める決議を採択した。

日本が国際連合加盟国となる

投票の瞬間が近づくにつれ、総会は期待に包まれた。日本代表の運命は、世界各国からの代表が決断を下すかどうかの天秤にかかっていた。点呼が始まると緊張が高まり、会場は静まり返った。一票、また一票と投票が行われ、日本の運命は決まった。最終集計が発表されると歓声が沸き起こり、国際連合の新メンバーが歓迎された。

加盟を目指す国の指導者と人々の努力と献身の証であり、勝利の瞬間である。国連と新加盟国の国旗が並んで掲げられると、そこには希望と団結が感じられ、国際協力の力と、すべての人にとっての明るい未来への可能性を思い起こさせた。

興味深い展開だ。

 

これにて日本は国際連合の90番目の加盟国となり、世界における存在感をより高めることとなった。

中華人民共和国が崩壊したこの世界で、1976年時点でもまだ中華民国が常任理事国入りしているため、常任理事国5か国中4か国が西側陣営という構図になっている。

 

この結果、ついに日本は「非承認国」から「承認国」に格上げ。

「超大国」米ソ、「列強」伊墨に次ぐ世界「第5位」の国家として認められることとなった。

長らく「未承認国」だったため関心が2つしか持てずかなり苦労していたが、これでようやく関心が3つに・・・まだ3つ。この後列強になっても5つまでしか上がらなかった。海軍によって関心を増やせないこのMODでは、関心の扱い方が非常にシビアになっている。


世界を牽引する大国としての責務を果たすべく、政府は国内の改革にも着手していくこととなる。

まずは時代遅れの「検閲」制度を廃止し、「言論の保護」を制定すべく審議を開始。

兼ねてより中国からの亡命者でもある李張の働きかけもあり、国内でも言論の自由化を求める政治運動が高まりを見せてもいた。

当然、与党内の保守派からは強い反発も出てくるが、政権はこれに圧力をかけ、黙らせる。

反発する道徳家勢力の指導者は「女性蔑視者」の植田一成。以前も女性の権利を後退させる「女性の法的後見」法成立を請願するなど前時代的な志向を持つ勢力だったため、この際に徹底的に弾圧することとする。

与党内でも「道徳家」勢力の影響力は低く、彼らを無下にしたところで弊害は少ない。

 

1978年3月4日にこの法案は無事成立し、汚職の増加量が抑えられた他、メディアも一気に自由化が進み、これまでの「政府系ニュース」製法で抑えられていたメディアの生産量を一気に押し上げることができるようになった。

GDP上昇の速度もさらに増していき、今や1兆ドルを超えるほどに。米ソ西ドイツに次ぐ世界第4位のGDPとなっている。

科学技術もさらに進展し、発光ダイオード半導体など、経済成長のための新たな産業・技術において、新資源「レアアース」の需要が高まりを見せ始める。

 

東郷政権は再び、その食指を中国へと伸ばしていくこととなる。

 

 

1981年12月。

西側陣営についていたユーゴスラビアを巡り、再び米ソが直接対決を開始。

世界の目が欧州に向いているこの隙に、日本政府は新たに東側陣営に与した直隷軍閥に対しその領土割譲を要求。

その狙いは河北のレアアースと河南の大量のボーキサイト。河北ではウランや天然ガスが採れることも魅力的である。

狙い通りソ連は参戦せず、直隷軍閥との一騎打ち。

但し、2倍の兵力差であった前回の山東戦争と違い、今回は敵もこちらと同等の100師団を有している。

装備品においても敵側にジェット戦闘機こそないものの、それ以外はほぼ同等ということで、意外な苦戦を強いられつつあった。

その上で、この世界は軍事ユニット1単位1万人になっていることもあり、原作と比べると陸軍も海軍も「思ったよりも少ない」規模で各国は運用している。

「超大国」米ソはさすがに桁が違い、それぞれ780師団、420師団を有しているものの、その他の「列強」たるイタリアは54師団、日本と同等で準列強のカナダは66師団など、100師団を超える戦力を保有している国は決して多くはない。

そんな中、直隷戦争の為100師団を用意することとなった日本は毎週198万円の赤字を垂れ流しているような状況。信用枠は残り6,000万程度のため、このペースで赤字が流れ続ければ1年も持たない形である。

 

そこで、政府は決断する。

日本も参加している国際機関IMF(国際通貨基金)から、融資を受けることを。

合計2億5,100万円の融資を獲得し、5年間でこれを返済するという約束。

融資の承認を得られる可能性は79.6%。普通に考えれば、侵略戦争を仕掛けている側がそれが原因で破産しそうなときに融資してくれという要求が通るわけはないとは思うのだが・・・返済可能能力が十分にあることが大きな可能性ボーナスになっているようだ。

これが通らなければ破産するほかない・・・

そう思いながらドキドキして待っていると・・・

 

1982年12月28日。

ついに、融資の承認を得られることとなった!

これであと3年は戦える。

後顧の憂いを断った日本軍は快進撃を継続。

開戦から1年8か月後の1983年11月10日。思わぬ苦戦を強いられた「直隷戦争」が集結を迎えた。

 

IMF融資を受けるなど、少し情けないところはありながらも、これにて日本は大陸に3州を領有し、その人口規模も3億弱にまで成長する真の大国へと変貌。

国家順位は一つ下がりはしたものの、念願の「列強」入りも果たすこととなった。

 

時代はいよいよ1980年代半ばを迎え、現代がぐっと近くなってきた。

今回のプレイもこの辺りで終盤戦へと入っていくこととしよう。

 

 

エピローグ:「冷戦後」に向けて

1986年2月。

東側陣営の指導者・「超大国」の一角として君臨し続けていたソ連で、大規模な内乱が発生。

ユーラシア連合」を名乗るこの反乱勢力を率いるのはウクライナ人のミハイル・パスケーヴィチ。漸進的な市場の開放を求め、政府の転覆を図るクーデターを勃発させた。

さらにこの動きに触発されたのか、同年には世界各地で革命が頻発。

満洲、安徽、台湾、エジプト、インド、リトアニア・・・。

まさに「革命の年」となった1986年。

その中心であったソ連での革命騒動は一旦は革命勢力の鎮圧により収束したものの、彼らの言い分も受け入れる形で時の首相セミョーン・パヴロフは大改革に着手。

ソビエト独裁制を解体し、「直接民主制」を採用。

1990年10月にはソ連初の選挙によって、元実業家で自由主義者のフェミニスト「アレクサンドラ・サルトゥイコフ」首相が誕生した。

アメリカ合衆国も穏健派のスティーヴン・ライトが新大統領として就任しており、翌年4月にはこの両者による電撃的な会談が実現。

冷戦を支える2大国のトップが握手する場面は世界の新聞の一面を大きく飾り、時代は新たなる局面へと突入していくこととなる。

 

そして日本の政治もまた、新たな局面を迎えていく。

1995年8月24日。良くも悪くも長らくこの数十年の日本の政治を牛耳り続けてきた東郷従道が76歳でこの世を去る。

後継者として首相に就任した徳川兵衛は、若く、由緒正しき血筋ではあるものの、その代わり映えしない政治に飽き飽きとしていた国民は大きな変化を求め始めてもいた。

何しろ、半世紀以上政権を握り続けている現与党・保守党の汚職は恐ろしい水準となっており、世界各国からも公然と非難されるほどのものとなっていた。

かくして、1997年5月12日に行われた選挙において、ついに民主社会党が僅差ではあるが保守党を破り勝利。「65年体制」は終焉を迎えることとなった。

新首相として、初の女性首相でもある三音花圃が就任。

労働組合出身の彼女は、あらゆる権力による暴力を拒絶し、自由を奨励する「廃止論者」でもある。やや現実離れした理想を語ることも多く、政治に不慣れなところも見せる民主社会党政権は、国民により与えられた4年間の信任期間をうまく扱うことはできるだろうか。


日本もまた、変革のときを迎えつつあった。

 

 

 

と、いったところで今回は終了。

ちょうど21世紀を目前に控えたこのタイミングで筆を置こうと思う。

とりあえず2000年まで進めてみたが、GDPは最終的に米ソに次ぐ世界3位。4.97兆ドルということで、史実の日本のGDPとほぼ同額である。

国家ランキングでも堂々たる3位。イタリア・メキシコ・カナダらを超え、筆頭列強国として君臨している。生活水準は低めでソビエト連邦並みだけど・・・。

威信の源となっている、世界でも上位の生産高を誇る日本製製品の一覧はこちら。高級車や商用航空機などの世界最大の生産者となっており、世界中にその高い技術力を輸出している。

長らく政権交代が行われなかったこともあり、法律改正はそこまで進んではいない。国民皆保険や義務中等教育は現代社会と同水準の整備がされてはいるものの、人種差別はまかり通っており環境規制もなし、女性の権利や労働者の権利もこの半世紀変わらずといったところだ。

工場は汚染を垂れ流し続けており、このことは次の半世紀の課題となるだろう。

 

 

以上、足早に「戦後日本」の50年間を眺めてきた。

 

まだまだアルファ版ということではあり、とくに冷戦前後のイベントなどはまだまだ拡充の余地があるとは思うものの、現時点でもかなり「遊べる」印象をもった今回の冷戦MOD。

特に新しい技術、新しい歴史IFの瞬間・・・すべてが、Victoria3を初めて触った時のあのワクワク感を思い出させてくれるような、新鮮な体験であった。

 

今後の更なる改良、楽しみにしています。

 

 

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